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コラム物流・SCMのリデザイン

物流KPIは何を見ればいいのか|誤出荷率・人時出荷数など8つの指標と計算式

物流KPIは何を見ればいいのか|誤出荷率・人時出荷数など8つの指標と計算式

物流の改善を始めようとして、最初に詰まるのは「何を測ればいいのか」です。測る項目を増やしすぎると、集計だけで疲れてしまい、少なすぎると、どこが悪いのか見えません。物流の現場を支援していると、この迷いに何度も出会います。

結論から言うと、物流KPIは品質・生産性・在庫・コストの4つの面から見るのが整理しやすく、まず8つの指標を押さえれば十分です。それぞれの計算式と、読むときの注意点を、表でまとめました。

物流KPIとは:まず1分だけ

物流KPIとは、物流の仕事がうまくいっているかを数字で確かめる指標のことです。どれも「何を分子に、何を分母に置くか」で意味が決まります。式の定義が人によってばらばらだと、同じ名前の数字でも比較ができなくなります。

指標の設計一般の考え方(KGIとの関係、現場が動く条件)は、KGIとKPIはどう使い分けるのかで扱っています。ここで扱うのは、物流の指標そのものの一覧と計算です。

物流KPI 8つの指標と計算式

面

指標

計算式

何がわかるか

品質

誤出荷率

誤出荷件数÷出荷件数

出荷作業の正確さ

品質

納期遵守率

約束の納期どおりに届いた件数÷出荷件数

顧客との約束の守れ具合

品質

欠品率

在庫がなく出荷できなかった行数÷受注行数

在庫の備えの足り具合

生産性

人時出荷数

出荷行数(または出荷件数)÷作業の総人時

作業者1人1時間あたりの処理量

在庫・保管

保管効率(棚の使用率)

使用している棚数(または面積)÷使える棚数(または面積)

保管スペースの使われ方

在庫・保管

在庫回転率

売上原価÷平均在庫金額

在庫が年に何回入れ替わるか

コスト

積載率

実際に積んだ量÷積める量

トラックの使い方の効率

コスト

物流コスト比率

物流費÷売上高

売上に対する物流費の重さ

面ごとに、どう読むかを見ていきます。式が単純だからこそ、分母と分子の範囲を揃えることが、最初の仕事になります。

品質の指標:誤出荷率・納期遵守率・欠品率

誤出荷率は、1,000件の出荷で2件の誤出荷なら0.2%です。件数を注文単位で数えるのか、明細の行単位で数えるのかを先に決めてください。原因を4つの型に分けて減らす手順は、誤出荷はどう減らすのかで5つの手順にまとめています。

納期遵守率は、約束した納期に間に合った割合です。納期の定義(出荷日か、到着日か)を、顧客との約束に合わせて決めてください。遅れた原因が、出荷作業にあるのか、輸送にあるのかを分けて記録すると、打ち手が見えます。

欠品率は、在庫がなくて出荷できなかった割合です。式の分母を受注行数にするか、受注数量にするかで数字が変わります。欠品を減らすために在庫を積み増すと、在庫の指標が悪化するため、必ず在庫の指標と並べて見ます。欠品と在庫のバランスは、安全在庫の決め方にまとめています。

生産性の指標:人時出荷数

人時出荷数は、作業者が1時間に何行(または何件)を出荷できたかを表します。分母の人時は、作業者の人数と作業時間の積で、残業やパートの時間も含めて揃えます。人数で割ると、残業の多い職場と少ない職場が同じに見えてしまうからです。

数字の読み方で注意したいのは、出荷の行数と件数のどちらを使うかです。1件の注文に何行入るかで作業の重さが変わるので、行数のほうが作業量に近い数字になります。いずれにしても、定義を決めたら変えずに追ってください。

在庫・保管の指標:保管効率・在庫回転率

ここでいう保管効率は、棚や床の面積がどれだけ使われているか(使用率)です。単位面積あたりの保管量を保管効率と呼ぶ会社もあるので、社内でどちらの意味かを揃えてください。

使用率は、高ければよいとは限りません。高くなりすぎると、入庫の置き場に困り、ピッキングの動線も悪くなります。ロケーションの設計と合わせて、余裕を残した水準を見極めてください。棚の住所の振り方は棚番はどう振ればいいのかが参考になります。

在庫回転率は、売上原価を平均在庫金額で割った値で、在庫が1年で何回入れ替わるかを表します。回転が速いほど資金の滞留は小さくなりますが、速すぎると欠品が増えます。商品ごとの特性が違うので、全体の平均だけでなく、分類別に見ることをおすすめします。

コストの指標:積載率・物流コスト比率

積載率は、トラックの積める量に対して、実際に積んだ量の割合です。量の単位は、重さ、容積、パレット数など、何を基準にするかを決めておく必要があります。高ければ高いほどよい、という数字でもありません。詳しくは積載率はどこまで上げるべきかで説明しています。

物流コスト比率は、物流費を売上高で割った値です。物流費の範囲(運賃、倉庫費、人件費、包装費など)を、どこまで含めるのかを最初に決めます。範囲が違う数字を比べても意味がないので、社内でも定義を1つに固定します。

一段深く:8つ全部を追わない、という選び方

指標を全部同時に追うと、現場は何を優先すればよいのかがわからなくなります。おすすめは、各面から1つずつ、計4つ程度に絞ることです。たとえば、品質から誤出荷率、生産性から人時出荷数、在庫から在庫回転率、コストから物流コスト比率という選び方です。

もう1つ大切なのは、指標同士が引っ張り合う関係に気づくことです。欠品率を下げれば在庫が増え、在庫を減らせば欠品が増えます。人時出荷数を上げることだけを求めれば、誤出荷が増えるかもしれません。1つの指標だけを良くしようとすると、別の指標が悪化するので、必ず対になる指標を一緒に置いてください。

最後に、数字は集めた瞬間には役に立ちません。毎週同じ場所で見て、悪化したら理由を話し合う場があって、初めて指標になります。集計を自動化することより、見る場を先に決めるほうが、効果が出ます。

よくある質問

Q. 小さな倉庫でも、8つ全部を測る必要がありますか。

A. 必要はありません。まず、誤出荷率、人時出荷数、在庫回転率のように、データが取りやすいものから始めてください。出荷件数や作業時間が日報に残っていれば、すぐに計算できます。続けられる範囲から広げるのが現実的です。

Q. 他社の数字と比べて、目標を決めてもよいですか。

A. 他社の数字は、定義や取り扱う商品が違うため、そのままでは比べられません。まず自社の推移を見て、悪化していないか、改善の余地がどこにあるかを確かめてください。顧客から要求された水準があれば、それが優先されます。

Q. 指標の数字は、誰が集計すればよいですか。

A. 現場の作業者に追加の集計をお願いするのは、避けたほうがよいです。作業の記録(出荷実績、作業時間)から、管理側が自動で出せる形にしてください。現場が数字を作る負担を感じると、記録の質が落ちます。

まとめ

物流KPIは、品質・生産性・在庫・コストの4つの面から、誤出荷率、納期遵守率、欠品率、人時出荷数、保管効率、在庫回転率、積載率、物流コスト比率の8つを押さえます。どれも分母と分子の範囲を決めて固定し、対になる指標と一緒に見ることが、使える数字にする条件です。

自社の物流の指標設計や、集計の仕組みづくりでお困りの方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

小林悠真(こばやし・ゆうま)/LF&L株式会社 代表取締役。九州大学で音響設計・音楽マネジメントを学びデザイン思考を培った後、ヤマトシステム開発・バンテックで物流/生産管理、ラクスル等のITスタートアップで事業開発・SCM構築を経験。製造業・物流業のDXコンサルタントとして、現場の1歩から経営システムまでの全体最適を支援する。テューバ奏者・LFコンサート代表理事も兼務。

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