LF&L株式会社
コラム

誤出荷はどう減らすのか|ピッキングミスを4つの型に分けて潰す5つの手順

誤出荷はどう減らすのか|ピッキングミスを4つの型に分けて潰す5つの手順

誤出荷が起きると、現場の対策はたいてい「もっと気をつけよう」に落ち着きます。ダブルチェックを増やし、声出し確認を足し、その分だけ作業が遅くなります。それでも数日後に同じミスが出て、担当者が責められる流れを、物流の現場でよく見てきました。

誤出荷は、人の注意力の問題として扱うと減りません。ミスを4つの型に分け、型ごとに仕組みで潰すと、検品を増やさずに減らせます。その5つの手順を順番に説明します。

誤出荷とは:まず1分だけ

誤出荷とは、注文と違うものが出荷されてしまうことです。誤出荷率は「誤出荷件数÷出荷件数」で表し、1,000件の出荷で2件の誤出荷があれば0.2%です。件数の数え方(注文単位か、行単位か)を先に決めておかないと、月ごとの比較ができません。

誤出荷に似ていて別物のものに、欠品や納期遅れがあります。これらは在庫や計画の問題で、原因の探し方が違います。ここで扱うのは、出荷作業の中で起きる取り違えと入れ忘れです。

誤出荷を4つの型に分ける

ここでは、対策を選びやすくするために、誤出荷を次の4つの型に分けて考えます。規格で決まった分類ではなく、現場で手を打つための整理です。

型

何が起きるか

主な起点

効く対策の方向

品番違い

似た商品を取り違える

ピッキング

置き方の分離・照合

数量違い

多く、または少なく入れる

ピッキング・梱包

数え方の標準化・重量検品

届け先違い

別の送り先に発送する

梱包・ラベル貼付

ラベルと伝票の照合

入れ忘れ・同梱違い

明細にあるものが入っていない、不要なものが入る

梱包

梱包時の明細照合

型を分ける意味は、対策が型ごとにまったく違うからです。品番違いに効く置き方の工夫は、届け先違いには何の効果もありません。「誤出荷を減らす」という目標だけでは、手が止まります。型に分けて初めて、何を直すかが決まります。

誤出荷を減らす5つの手順

手順は、記録して型に分けるところから始まり、仕組みで潰し、効果を測るところで終わります。それぞれ順に見ていきます。

手順1:誤出荷を記録して、型に分ける

まず、誤出荷が起きた事実を、全件記録します。日付、品番、数量、ミスの型、発見した場所(出荷前か、顧客からの連絡か)を最低限残してください。記録がなければ、対策の優先順位も決まりません。

ここで大切なのは、責める場にしないことです。ミスを報告した人が叱られる現場では、記録が減り、ミスが見えなくなります。記録の目的は原因の把握であり、個人の評価ではないと、はっきり伝えてください。

手順2:どの工程で起きたかを特定する

型に分けたら、工程のどこで起きたかを突き止めます。ピッキング、検品、梱包、ラベル貼付、出荷待ちのどこかです。品番違いならピッキングか検品、届け先違いなら梱包かラベル貼付が起点になりやすい、と目星を付けられます。

工程を特定すると、「検品を足す場所」がわかります。全工程に検品を足すと作業が重くなりますが、ミスの起点の直後に1回だけ置けば、効果は大きく、負担は小さくなります。

手順3:似た品番を離し、置き場の住所を1つに決める

品番違いのよくある原因の1つは、似た見た目の商品が隣に置かれていることです。色違い、サイズ違い、品番末尾だけ違う商品は、離して置くか、棚の段を変えます。ケースの色や表示を変えるのも有効です。

あわせて、1つの品番が置かれる場所の住所(棚番)を一意にしておきます。棚番の振り方は棚番はどう振ればいいのかで扱っています。置き場が曖昧だと、作業者が自分で見当をつけて探すことになり、取り違えが増えます。歩く距離を減らす観点は倉庫レイアウトとピッキング動線が詳しいので、役割を分けて読んでください。

手順4:目で確認するのをやめ、読み取りで照合する

目視と声出しの確認は、人が疲れると精度が落ちます。バーコードやQRコードの読み取りで、指示と実物を機械に照合させる形にすると、品番違いと数量違いの多くを現場で止められます。ハンディ端末の導入が難しければ、まず納品書や伝票とラベルを読み取りで突き合わせるところから始められます。

数量違いには、重量検品も有効です。商品の1個あたりの重さが安定していれば、梱包後の重さが想定と合うかを見るだけで、入れ忘れや多入れに気づけます。ただし、重さが近い商品や、軽すぎて誤差が大きい商品には向きません。

手順5:誤出荷率を毎日測って、型別に見る

対策を入れたら、効果を測ります。誤出荷率を毎日あるいは毎週、型別に出し、対策した型の数字が下がっているかを確認します。全体の数字だけを見ると、ほかの型の増減に隠れて、対策の効果が見えなくなります。

下がらない型が残ったら、手順2に戻って、起点の工程を見直してください。この循環を回し続けることが、誤出荷を減らす仕組みそのものです。

一段深く:誤出荷の損失は、再配送の費用だけではありません

誤出荷が起きると、代替品の発送費や回収費、手直しの人件費がかかります。ただ、見えにくい損失のほうが大きいことがあります。顧客の信頼の低下、問い合わせ対応に取られる時間、現場の士気です。

数字にするなら、誤出荷1件あたりに何分の対応時間がかかり、何人が関わったかを一度測ってみてください。月の件数をかけ合わせると、検品の仕組みへの投資と比べる材料になります。金額を作る必要はなく、時間で十分です。

もう1つ大切なのは、発見が早いほど損失が小さいという点です。出荷前に見つかれば作業のやり直しで済みますが、顧客のもとで見つかれば、往復の運賃と信頼の両方を失います。検品は「ミスを探す場所」ではなく「発見を早める場所」と考えると、置く位置が決まります。

よくある質問

Q. 検品を増やせば、誤出荷は減りますか。

A. 減りますが、作業が重くなり、別の遅れを生みます。先に型と起点を特定して、ミスが生まれる工程の直後に置くのが効率的です。検品の数を増やすより、ミスの原因そのものを減らす対策を優先してください。

Q. 誤出荷率はどのくらいを目標にすればよいですか。

A. 取り扱う商品や顧客との取り決めによって変わるため、一律の目標はありません。まず自社の現状を型別に測り、一番大きい型から下げていくのが現実的です。顧客から指定がある場合は、それを基準にしてください。

Q. 小規模な倉庫でも、読み取りの仕組みは必要ですか。

A. 出荷件数が少ないうちは、置き場の整理と記録だけでも大きく減ることがあります。そのうえで、取り違えが残る型に絞って、読み取りを導入するかを判断してください。最初から全工程に機器を入れる必要はありません。

まとめ

誤出荷は、品番違い、数量違い、届け先違い、入れ忘れ・同梱違いの4つの型に分けて考えます。記録して型に分け、起点の工程を特定し、置き方を直し、読み取りで照合し、毎日測ります。この5つの手順で、検品を増やさずに減らせます。

自社の誤出荷の原因整理や、検品の置き場所の設計でお困りの方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

あわせて読みたい

この記事を書いた人

小林悠真(こばやし・ゆうま)/LF&L株式会社 代表取締役。九州大学で音響設計・音楽マネジメントを学びデザイン思考を培った後、ヤマトシステム開発・バンテックで物流/生産管理、ラクスル等のITスタートアップで事業開発・SCM構築を経験。製造業・物流業のDXコンサルタントとして、現場の1歩から経営システムまでの全体最適を支援する。テューバ奏者・LFコンサート代表理事も兼務。

この記事に関するご相談

業務改善・DX推進について、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせ
← コラム一覧に戻る