パレットはなぜ1100mm四方なのか|追えた順序は、1966年の「1種類」答申と1970年のJIS

日本でいちばん一般的な平パレットは、1100mm四方です(レンタル事業者のJPRの説明)。では、なぜ1000でも1200でもなく1100なのでしょうか。私が読んだ資料の範囲では、1100という数字の理由を書いた規格や答申の文は見つかりませんでした。
代わりに追えたのは順序です。日本パレット協会の資料によると、1966年に「パレットサイズは1種類が望ましい」とされ、1970年のJISで11型が規定されました。寸法の根拠としては、JPRが、トラックや鉄道コンテナの寸法から積載効率の高い数字を探したと説明しています。
1分で押さえる:11型とは何か
11型は、JIS Z 0601(プールパレット:一貫輸送用平パレット)で定められた、1100×1100×144mmの平パレットです。「T11」の「T」は、日本パレット協会によれば「through transit」の頭文字です。JIS Z 0601:2001では、木製とプラスチック製があり、最大積載質量は1tと規定されています。
以下は、日本パレット協会の資料(2021年9月)と、国土交通省などが2024年6月に公表した「パレット標準化推進分科会 最終とりまとめ」を読んだ内容です。
追える順序:1966年の「1種類」、1970年の11型
日本パレット協会の資料は、1966年(昭和41年)の産業構造審議会の小委員会の答申「パレット・プールの推進について」を、「パレットサイズは1種類が望ましい、とされた」と要約しています。その4年後の1970年(昭和45年)に、JIS Z 0601に11型が規定されました。私は答申の原文を読めていないので、答申が寸法に触れていたかどうかは分かりません。
同じ資料は、サイズの標準化と、標準のパレットを社会で共有する仕組みは両輪だと述べています。サイズだけ決めても、共有の仕組みがなければ効果は出ない、という整理です。
1100の理由について、JPRは2025年7月の記事で、トラックや鉄道コンテナなどの寸法をもとに、積載効率が高くなるよう最大公約数を求める発想で規定されたと説明しています。これは事業者の説明で、私は規格票の側で裏付けを確認できていません。荷台の幅から1100が一意に導かれる、という言い方は避けておきます。
世界を並べると、1100は唯一ではない
地域 | サイズ(mm) | 運用の仕組み |
|---|---|---|
日本(レンタル) | 1100×1100×144 | レンタル会社の方式 |
日本(酒類) | 1100×900×140 | 業界のプール方式 |
欧州 | 1200×800×144、1200×1000×144 | EPALによる等価等枚交換 |
豪州 | 1165×1165×150 | レンタル方式 |
出典は日本パレット協会の資料(2021年9月)です。同じ平パレットでも、国や業界でサイズも仕組みも違います。同資料は、欧州ではサイズの標準化と共有の機構が並行して進み、日本は1960年代にすでに多様なサイズが流通した段階で標準化を進めざるを得なかった、と整理しています。
2022年度でも「そろっていない」数字
2024年6月の最終とりまとめは、標準仕様パレットを、平面1,100×1,100mm、高さ144〜150mm、最大積載質量1tと整理しました。あわせて示された数字は次のとおりです。
- 平パレットの生産数量に占める11型(木製・プラスチック製)の割合は、2022年度で26%。2030年度に50%以上が目標
- レンタルパレットの保有数量に占める11型の割合は、2022年度で76%。2030年度に85%以上が目標
- 最終とりまとめが現状として挙げる数字として、パレット化できる荷物のうち輸送でパレット化されているのは約8割、貨物の出荷時に約5割で積み替えが発生、レンタルパレットの利用率は約3割(調査年は私は確認できていません)
1970年の規定から50年以上たっても、2022年度の生産数量では11型は26%です。一方で、レンタルの保有では76%を占めます。標準は決めたら終わりではなく、使う側がそろえて初めて効くことが分かります。
一段深く:寸法は、荷主と運び手のあいだの約束の名前
私はこの話を、寸法の雑学ではなく、約束の設計として見ています。自社が11型を使っていても、受け取る側が別のサイズなら、荷物は積み替えになります。日本パレット協会の資料は、幅と奥行だけでなく、高さや差込口(二方差しか四方差しか)まで統一することが重要だと指摘しています。
もう一つ、最終とりまとめのロードマップには、荷主側の取り組みとして外装サイズの検討や、受発注ロットサイズの検討が並んでいます。パレットの寸法に合わせて箱の寸法と発注の単位を見直す、という方向です。積載の考え方は積載率はどこまで上げるべきかに整理しました。
よくある質問
Q. 11型以外のパレットは規格外ですか。
A. 必ずしもそうではありません。日本パレット協会の資料は、1100×800、1100×900、1200×800、1200×1000などを平パレットの規格サイズとして挙げ、規格外の例も別に示しています。11型は、官民の分科会が標準仕様として推進しているサイズです。
Q. 今から導入するなら11型にすべきですか。
A. 自社の荷姿、取引先、保管設備によります。官民の分科会の最終とりまとめは、関係者に標準仕様パレットの導入を促す内容で、官民の協議会が整理した文書です。製品の特性上使えない場合や、酒・飲料のように業界内で効率的な一貫パレチゼーションがすでに実現している場合は「当分の間困難な場合」と整理し、将来的な導入を期待するとしています。まず主要な取引先がどのサイズかを確かめてください。
まとめ
私が確認できた資料で追える順序は、1966年の「1種類が望ましい」、1970年のJISの11型規定です。私は、パレットが1100mm四方なのは、寸法に唯一の正解があったからというより、そろえる約束が先にあったからだと見ています。サイズを聞かれたら、寸法だけでなく、相手と何をそろえているかを確かめてみてください。
物流の標準化や荷姿の見直しでお悩みの際は、お問い合わせからご相談ください。関連する考え方はSCMと物流は何が違うのかにもあります。
出典(2026年11月1日確認)
- 日本パレット協会「パレット標準化の現状と課題」2021年9月:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001424794.pdf
- 国土交通省ほか「パレット標準化推進分科会 最終とりまとめ」2024年6月:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001751630.pdf
- 日本パレット協会「パレットについて」:https://www.jpa-pallet.or.jp/about
- JIS Z 0601:2001(本文の閲覧は転載サイト):https://kikakurui.com/z0/Z0601-2001-01.html
- 日本パレットレンタル(JPR広報)2025年7月:https://note.com/jpr_pr/n/n13887a822e3b
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この記事を書いた人
小林悠真(こばやし・ゆうま)/LF&L株式会社 代表取締役。九州大学で音響設計・音楽マネジメントを学びデザイン思考を培った後、ヤマトシステム開発・バンテックで物流/生産管理、ラクスル等のITスタートアップで事業開発・SCM構築を経験。製造業・物流業のDXコンサルタントとして、現場の1歩から経営システムまでの全体最適を支援する。テューバ奏者・LFコンサート代表理事も兼務。