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コラム

不良率はどう下げるのか|層別・パレート・要因特定・歯止めの4ステップ

不良率はどう下げるのか|層別・パレート・要因特定・歯止めの4ステップ

不良率が高いと言われると、現場はまず「注意して作ろう」と声をかけがちです。朝礼で呼びかけ、検査を厳しくし、それでも数字が動かず、疲れてしまいます。製造業の現場を支援していると、この流れを何度も見かけます。

不良率は、気合いではなく手順で下がります。層別で偏りを見つけ、パレート図で狙いを1つに絞り、要因を確かめ、直したあとに歯止めをかけます。この4ステップを順番どおりに踏むだけで、手を付ける場所を間違えにくくなります。

不良率とは:まず1分だけ

不良率は、検査した数のうち不良だった数の割合です。式は「不良率=不良数÷検査数」で、百分率で表します。たとえば検査1,000個で不良が50個なら、不良率は5.0%です。

注意したいのは、分母に何を置くかを最初に決めておくことです。投入数を分母にするのか、検査を通過した数を分母にするのかで、同じ現場でも数字が変わります。以降の手順は、どちらを使っても同じように進められますが、途中で定義を変えると比較ができなくなります。

不良率を下げる4ステップ

ステップ

やること

使う道具

この段階の成果物

1. 層別する

不良を、いつ・どこで・何が・誰がといった切り口で分ける

集計表・クロス集計

偏りが見える切り口

2. パレートで絞る

不良の種類を件数の多い順に並べ、累積の割合を見る

パレート図

最初に潰す不良モード1つ

3. 要因を特定する

人・機械・材料・方法の4つの側面で、条件の違いを比べる

比較データ・特性要因図・なぜなぜ分析

確かめた原因

4. 歯止めをかける

直した条件を標準に落とし、数字を監視し続ける

作業標準・管理図

再発しない仕組み

このうち、2つ目までは集計の仕事で、3つ目からが現場に出る仕事です。順番を逆にして、集計せずに原因探しから入ると、目立つ不良や最近起きた不良に引きずられます。まず集計で場所を決めてから、現場に足を運んでください。

ステップ1:層別して、偏りを見つける

層別とは、データを性質の近いグループに分けて見ることです。不良率が全体で5.0%でも、ライン別、機械別、時間帯別、作業者別、材料ロット別に分けると、同じ5.0%には並びません。偏りがあれば、そこに原因のヒントがあります。

切り口は一度に1つずつ試し、偏りが大きく出たものを選びます。たとえば機械Aは2.0%、機械Bは8.0%なら、機械の違いに偏りがあるとわかります。逆にどの切り口で分けても偏りが出ないなら、全体に効く共通の要因を疑うことになります。

ここで大事なのは、不良の種類(キズ、寸法外れ、欠け、異物など)も切り口の1つにすることです。種類ごとに原因の探し方がまるで違うので、次のパレート図の前提にもなります。

ステップ2:パレート図で、最初に潰す1つを決める

パレート図は、不良の種類を件数の多い順に棒で並べ、累積の割合を折れ線で重ねた図です。少数の項目が全体の大部分を占める、という性質を使って、優先順位を決めます。

次の表は、架空の数値で作った例です。検査1,000個で不良が合計50個出た工程を想定しています。

順位

不良の種類

件数

全体に占める割合

累積の割合

1

寸法外れ

26

52%

52%

2

キズ

12

24%

76%

3

欠け

7

14%

90%

4

その他

5

10%

100%

この例では、寸法外れだけで不良の半分を占めます。これを半分にできれば、不良率は5.0%から3.7%まで下がります(不良が50個から37個になるため)。4種類すべてに同時に手を付けるより、最初の1つに集中するほうが、はるかに早く成果が出ます。

パレート図を使うときは、件数だけでなく損失の大きさでも並べ替えてみてください。件数が少なくても、1個あたりの手直しコストが大きい不良は、優先順位が入れ替わることがあります。

ステップ3:4つの側面で、原因を確かめる

狙う不良が決まったら、人(Man)・機械(Machine)・材料(Material)・方法(Method)の4つの側面で、条件の違いを比べます。製造現場で「4M」と呼ばれる整理です。測定を加えた「5M」を使う現場もあります。

ここでやることは、犯人探しではなく比較です。たとえば寸法外れが機械Bに偏っていたなら、機械Aと機械Bで、工具の摩耗、段取り後の初品確認、温度、材料ロットなどを並べて、何が違うかを確かめます。違いが見つかったら、その条件を意図的に変えて、不良が動くかを試します。動けば、原因だと言えます。

原因がすぐ見えないときは、なぜなぜ分析で掘り下げます。5回問えばよいという話ではなく、問いの筋の立て方が大切なので、詳しくはなぜなぜ分析 徹底解説に譲ります。また、寸法の不良は、ばらつきが大きいのか、中心がずれているのかで打ち手が変わります。その読み分けは工程能力(Cp・Cpk)の記事で扱っています。

ステップ4:歯止めをかける

原因を直しても、数週間後に不良率が元に戻る現場は少なくありません。直した条件が人の記憶の中にしかなく、標準として残っていないからです。歯止めとは、直したことを仕組みとして固定する作業です。

やることは3つあります。1つ目は、直した条件を作業標準や段取り表に書き込み、誰が作業しても同じ条件になるようにすることです。2つ目は、不良率や特性値を継続して記録し、悪化の兆しを早く見つけることです。3つ目は、同じ原因が別のラインや別の製品に潜んでいないかを横に展開して確認することです。

特に段取りに由来する不良は、段取り替えのたびに再発しやすいものです。段取りの手順そのものを見直す考え方は段取り替えの時間はどう縮めるのかにまとめてあります。

一段深く:不良は、直した数ではなく、流出を止めた数で見る

物流と製造の現場を両方見てきて気づくのは、不良率の議論が「工程内で出た不良」だけで終わりがちなことです。ところが顧客にとって意味があるのは、工程内で見つかった不良ではなく、検査をすり抜けて流出した不良です。検査を厳しくして工程内の不良率が上がっても、流出が減っていれば、顧客から見た品質は良くなっています。

だから、不良率を見るときは、工程内不良率と流出した不良の件数を分けて記録することをおすすめします。前者は工程の安定を、後者は検査の網の目を映します。両方が下がって初めて、本当に下がったと言えます。

もう1つ、不良率が下がったことを手直し工数や廃棄の金額に換算して残してください。数字が下がっただけでは現場の手応えになりませんが、「月あたり何時間の手直しが減った」と言えれば、次の改善に回す余力の根拠になります。

よくある質問

Q. 層別の切り口は、何から試せばよいですか。

A. 検査記録にすでに入っている項目から始めてください。日付、時間帯、ライン、機械、作業者、材料ロットなどです。新しく測り始める必要はありません。偏りが出た項目に絞って、その中をさらに分けていきます。

Q. パレート図で上位2〜3項目に絞らないといけませんか。

A. 絞る数に決まりはありません。まず1項目を潰して、パレート図を作り直すのが現実的です。潰した後は順位が入れ替わるので、毎回描き直して次の標的を決めます。

Q. 不良率の目標は、どのくらいに置けばよいですか。

A. 業種や製品、顧客との取り決めによって変わるため、一律の正解はありません。まず自社の現在値を確定し、顧客から指定された水準があればそれを基準にしてください。社内で決める場合は、直近の実績から無理のない段階を刻むのが続けやすいです。

まとめ

不良率は「層別・パレート・要因特定・歯止め」の4ステップで下げます。層別で偏りを見つけ、パレート図で最初に潰す1つを決め、人・機械・材料・方法の比較で原因を確かめ、直した条件を標準に残して監視します。この順番を飛ばさないことが、遠回りに見えて最短です。

自社の不良の集計の仕方や、改善の進め方を整理したい方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

小林悠真(こばやし・ゆうま)/LF&L株式会社 代表取締役。九州大学で音響設計・音楽マネジメントを学びデザイン思考を培った後、ヤマトシステム開発・バンテックで物流/生産管理、ラクスル等のITスタートアップで事業開発・SCM構築を経験。製造業・物流業のDXコンサルタントとして、現場の1歩から経営システムまでの全体最適を支援する。テューバ奏者・LFコンサート代表理事も兼務。

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