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直接費・間接費と固定費・変動費は何が違うのか|原価を分ける2つの軸と、判断ごとの使い分け

直接費・間接費と固定費・変動費は何が違うのか|原価を分ける2つの軸と、判断ごとの使い分け

直接費・間接費と、固定費・変動費は、どちらも原価を分ける言葉なので、同じものの言い換えだと思われがちです。けれども、この2組は分ける軸が別です。直接費・間接費は「製品に結びつけられるか」で分け、固定費・変動費は「生産量に応じて増減するか」で分けます。

軸が別なので、同じ費用が両方の組に属します。たとえば人件費は、直接費で固定費にもなれば、間接費で変動費にもなります。この2軸を掛け合わせると、原価は4つの箱に入り、どの判断にどの軸を使うかが整理できます。

直接費・間接費と固定費・変動費の違い:まず1分だけ

原価計算基準は、原価要素の分類を複数の基準で示しています。製品との関連による分類では、製品の生成に対して原価が直接認識できるものを直接費、そうでないものを間接費とします。操業度との関連による分類では、操業度の増減にかかわらず変化しない原価を固定費、操業度の増減に応じて比例的に増減する原価を変動費とします。

直接費・間接費は、原価を製品ごとに割り振るための軸で、製品別の原価を出すときに使います。固定費・変動費は、生産量や売上が変わったときに費用がどう動くかを読む軸で、利益の変化を見るときに使います。目的が違うので、軸も違います。

人件費を2つの軸で見ると、4つの箱に分かれる

同じ人件費でも、誰の、どんな払い方の給与かで、入る箱が変わります。次の表は、工場の人件費を2軸で分けた例です。

人件費の例

製品との関連

操業度との関連

製品Pの組立だけを担当し、作った個数に応じて払う賃金

直接費

変動費

製品Pの組立だけを担当する正社員の月給

直接費

固定費

複数の製品を見る検査担当の月給

間接費

固定費

複数の製品を担当し、稼働に応じて時間数が増減するパートの賃金

間接費

変動費

上から2行目が、いちばん混乱しやすい箱です。特定の製品に専従していれば直接費ですが、月給で払うなら、生産量が減っても支払いは変わらないので固定費です。つまり、直接費だから変動費とは限りません。4つの箱を、人件費以外の費用の例も含めて埋めると、次のようになります。

変動費

固定費

直接費

製品に使う主要な材料費、個数に応じて払う賃金

専従の正社員の月給、専用の金型の減価償却費

間接費

消耗工具、稼働に応じて増える電気代の従量部分

検査担当の月給、工場建物の減価償却費

4つの箱は、他の費用にも当てはまります。たとえば特定の製品専用の金型の減価償却は、製品に結びつくので直接費で、多くの場合は固定費として扱われます。工場の電気代は、複数の製品が共有するので間接費で、使用量が稼働に比例する部分があれば変動費の性格を持ちます。ただし、どの箱に入れるかは会社の運用で決まる部分があり、一度決めた基準を継続して使うことが大切です。

判断ごとに、先に使う軸が変わる

分類を覚えても、使いどころが決まっていないと役に立ちません。次の表は、判断ごとに先に使う軸を整理したものです。

判断

先に使う軸

理由

目の前の追加注文を受けるか

固定費・変動費

設備や人に余力がある前提で、受けても増えない固定費は判断から外し、増える変動費だけを注文の売上と比べるため

製品別の採算を見る

直接費・間接費

製品に結びつく費用と共通の費用を分け、共通分をどう割り振るかを決めるため

値決めの下限と目標を決める

両方

下限は変動費を下回らない水準、目標は直接費と割り振った間接費、固定費を回収できる水準になるため

部門の成績を評価する

管理可能性

その部門の責任者が自分で増減できる費用かどうかが、評価の公平さを決めるため

設備や人に余力があるとき、追加注文の判断で固定費を数えると、本来は受けて得をする注文を断ってしまうことがあります。余力がなく、残業や外注が要るなら、その分も増える費用として数えます。逆に、変動費だけで値決めを続けると、固定費を回収できない価格が常態化します。どの判断で、どちらの軸を使っているかを、意識して使い分けてください。

一段深く:先に「どの判断のための原価か」を決める

原価の議論がかみ合わないのは、同じ原価という言葉で、違う判断を指していることが多いからです。経営者は値決めの話をし、製造は製品別の採算の話をし、経理は決算の話をしています。それぞれに必要な原価の切り方が違うのに、1つの表で全部を満たそうとします。

だから私は、原価の表を作る前に、その表で何を決めるのかを1行で書くようにしています。受注の可否なのか、値決めなのか、部門評価なのか。それが決まれば、使う軸は自然に決まります。固定費と変動費の線引きは固定費と変動費はどこで線を引くのかに、共通の費用の割り振り方は見えない原価(間接費)はどう扱えばいいのかと配賦基準は何で決めればいいのかにまとめています。

よくある質問

Q. 直接費は、変動費と同じ意味ですか。

A. 同じ意味ではありません。直接費は製品に結びつけられる費用で、固定費にも変動費にもなります。上の表のように、専従の正社員の月給は直接費で固定費です。

Q. 間接費は、必ず配賦しなければいけませんか。

A. 製品別の原価を出す目的なら、割り振る必要があります。追加注文の判断のように、製品別の原価が要らない場面では、配賦せずに固定費・変動費の軸だけで判断できます。

Q. 準変動費や準固定費は、どう扱えばよいですか。

A. 原価計算基準は、固定費または変動費とみなして分類するか、固定費の部分と変動費の部分に分解する方法を示しています。電気代のように基本料金と従量料金に分かれるものは、分解して扱うと実態に近づきます。

まとめ

直接費・間接費は製品との関連で、固定費・変動費は生産量との関連で分けます。軸が別なので、同じ人件費が、直接費にも間接費にも、固定費にも変動費にもなります。次に原価の数字を作るときは、その数字で何を判断するのかを先に決めて、使う軸を選んでみてください。

判断ごとの原価の出し方や、製品別採算の設計を整理したい方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

小林悠真(こばやし・ゆうま)/LF&L株式会社 代表取締役。九州大学で音響設計・音楽マネジメントを学びデザイン思考を培った後、ヤマトシステム開発・バンテックで物流/生産管理、ラクスル等のITスタートアップで事業開発・SCM構築を経験。製造業・物流業のDXコンサルタントとして、現場の1歩から経営システムまでの全体最適を支援する。テューバ奏者・LFコンサート代表理事も兼務。

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