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業務改善は“気合いで頑張る”ことじゃない|進め方とフレームワーク

業務改善は“気合いで頑張る”ことじゃない|進め方とフレームワーク

「業務改善」と聞くと、朝礼で「今月はムダを減らそう」と号令をかけ、あとは現場の頑張りに任せる——そんな光景を思い浮かべませんか。実際、多くの会社の業務改善は、この「頑張る」という精神論の段階で止まっています。

物流の現場やIT企業の事業開発を経てきた立場から言うと、これはとてももったいない話です。業務改善は気合いではなく、仕組みで進めるもの。フレームワークという「型」を使えば、根性に頼らず、誰が取り組んでも同じ質の改善にたどり着けます。

業務改善とは? — まず1分だけ

業務改善とは、業務の中にあるムダ・ムラ・ムリを取り除き、同じ成果をより少ない手間・時間・コストで生み出せるようにすることです。似た言葉に「DX」「BPR(業務プロセス再構築)」がありますが、業務改善は現行の業務の流れを前提に、部分的・継続的に手直ししていく取り組みを指すのが一般的です。ゼロから作り直すBPRより、身軽に始められるのが特徴です。

“気合いで頑張る”がうまくいかない理由

精神論の改善が続かないのには理由があります。ムダが「見えていない」状態でどれだけ頑張っても、頑張る先が分からないからです。

私が物流センターの改善に関わっていたとき、よく見た場面があります。ベテランの作業員が「今日は集中して効率よくやろう」と意気込んで棚を回っても、探す商品の置き場所がバラバラで、結局は歩く距離も探す時間も、前日とほとんど変わりません。頑張りが足りなかったのではありません。頑張る対象(どこにムダがあるのか)が可視化されていなかっただけです。気合いは、見えていないものには効きません。

フレームワークの役割はここにあります。ムダを見える形に変換し、誰が取り組んでも同じ順番で手が動くようにします。属人的な「センスの良い人だけができる改善」から、再現できる改善へ。

業務改善の進め方 — 可視化からフレームワークへ

私が現場で必ず踏む順番は、次の4段階です。

  • 1. 現状を可視化する:業務フロー図や作業日報で、「誰が・何を・どれだけの時間で」やっているかを一枚の紙に書き出します。ここを飛ばしてフレームワークだけ導入しても、何を改善すべきか判断できません。
  • 2. ECRSの原則で問い直す:可視化した業務ひとつひとつに、Eliminate(排除できないか)→ Combine(一緒にできないか)→ Rearrange(順番を変えられないか)→ Simplify(単純化できないか)の順で問いを立てます。この順番には意味があり、なくせる作業をなくすのが最優先。統合や並べ替え、単純化はその後の話です。
  • 3. 優先順位をつける:出てきた改善案すべてに手をつけようとしません。効果が大きく、着手しやすいものから一つ選びます。私の経験では、欲張って同時に3つ以上進めた改善は、たいてい中途半端に終わります。
  • 4. 小さく試してPDCAを回す:全部署に一気に展開せず、まず一つのラインや一人のチームで試します。うまくいった型を確認してから広げる方が、結果的に早く定着します。

ECRSは、頭で考えるより先に手を動かしてみると効きます。たとえば「現場担当者が紙の日報を書き、それを事務員が翌日Excelへ転記する」という作業。よく見かける光景です。Eliminateから順に当てはめると、まず「転記そのものをなくせないか(タブレット入力に変える)」を考え、それが難しければCombineで「転記と集計を同じ人が同時にやる」、Rearrangeで「書く順番を集計しやすい順に変える」、最後にSimplifyで「記入項目を減らす」——この順で削れる工程を先に削るから、無駄なシステム投資をせずに済みます。順番を守らず先にシステム化を検討すると、なくせたはずの作業までそのままデジタル化してしまいます。

フレームワークは魔法の道具ではありません。可視化という土台があって、初めて機能します。

一段深く — フレームワークは「目的から設計しなおす」ための道具

ここでもう一段、視点を変えてみます。ECRSやPDCAは、単なる手順書ではありません。私はこれをデザイン思考(今あるやり方を疑い、目的から設計しなおす発想)の道具として使っています。

「この作業、なぜやっているんですか」と聞くと、「昔からこうだから」という答えが返ってくることが少なくありません。これは悪いことではなく、多くの会社に共通する自然な状態です。ただ、そこで一度立ち止まって目的(何のためにこの作業があるのか)に立ち戻ると、そもそも作業自体が要らなかったり、まったく違うやり方で目的を達成できたりすることが見えてきます。ECRSの最初が「排除」なのは、まさにこの発想です。手を早くする前に、その手そのものが要るのかを疑います。

現場の1歩の動きから、それを管理する経営システムまで——全体を貫いて「目的は何か」を問い直します。これが、私の考えるフレームワークの使いこなし方です。

会議も同じです。毎週の定例会議を「なくせないか」と問わずに、進行を効率化するだけで終わらせてしまう会社は少なくありません。目的(何を決めるための会議か)に立ち戻れば、月1回の共有で足りることも、そもそも関係者を集めずチャットの一往復で済むこともあります。フレームワークは、こうした問い直しを一人の勘に頼らず、誰がやっても同じ深さまで届かせるための足場です。

よくある質問

Q. 業務改善のフレームワークはECRS以外にもある?

A. あります。原因を掘り下げる「なぜなぜ分析」、問題を枝分かれさせて整理する「ロジックツリー」、計画・実行・評価・改善を繰り返す「PDCA」など、目的に応じて使い分けます。ただ、最初の一歩としては、可視化した業務にそのまま当てはめられるECRSが扱いやすいと感じています。

Q. 業務改善とDXは何が違う?

A. 業務改善は「今のやり方を手直しする」取り組み、DXはデジタル技術を使って「やり方そのものを変える」取り組みです。順番としては、業務改善で流れを整理してからDXに進む方が、投資が無駄になりにくいと考えています。

まとめ

業務改善は、根性で乗り切るものではありません。まずムダを見える形にし、ECRSのようなフレームワークで問い直し、小さく試します。この順番さえ守れば、特別なセンスがなくても、着実に前に進めます。全部を一気に変えようとしなくて大丈夫です。まずは一つの業務を紙に書き出すところから始めてみてください。

自社の業務フローの可視化やBPRの進め方については、業務改善・BPRのご支援お問い合わせからお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

小林悠真(こばやし・ゆうま)/LF&L株式会社 代表取締役。九州大学で音響設計・音楽マネジメントを学びデザイン思考を培った後、ヤマトシステム開発・バンテックで物流/生産管理、ラクスル等のITスタートアップで事業開発・SCM構築を経験。製造業・物流業のDXコンサルタントとして、現場の1歩から経営システムまでの全体最適を支援する。テューバ奏者・LFコンサート代表理事も兼務。

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